相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人)
相続税がかかるかどうかの基準になる基礎控除の計算方法。法定相続人の数え方、不動産の評価額、申告の要否判定、税率の概要までまとめます。
相続税には「基礎控除」という枠があり、これを下回れば相続税はかかりません。基礎控除額は法定相続人の数で決まり、計算式は単純です。
基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
具体的な金額
- 相続人1人:3,600万円
- 相続人2人(配偶者+子1人):4,200万円
- 相続人3人(配偶者+子2人):4,800万円
- 相続人4人(配偶者+子3人):5,400万円
遺産総額が基礎控除を下回れば相続税はゼロ、上回れば超過分に対して税金がかかります。
遺産総額の計算
相続税の対象になる遺産は、現金・預貯金・不動産・株式・貴金属・自動車・著作権など、被相続人(亡くなった方)の財産的価値があるもの全部。借金・葬儀費用・未払いの医療費は債務として差し引けます。
計算式:遺産総額 = (相続財産+生前贈与財産+みなし相続財産) - (債務+葬儀費用)
不動産の評価額
不動産は「相続税評価額」で計算します。市場価格ではないので注意。
- 土地:路線価方式または倍率方式(国税庁の路線価図で確認可能)
- 建物:固定資産税評価額そのまま
路線価は時価の70-80%、固定資産税評価額は時価の50-70%が目安なので、市場価格3,000万円の不動産でも相続税評価額は2,000-2,400万円程度になることが多いです。
みなし相続財産
死亡保険金・死亡退職金は受取人固有の財産ですが、税法上は「みなし相続財産」として相続税の対象になります。ただし「500万円 × 法定相続人の数」までは非課税。
法定相続人の数え方
基礎控除計算の「法定相続人」は民法の定義と一致しますが、注意点が2つあります。
- 養子は実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで法定相続人にカウントする(節税目的の養子縁組への対策)
- 相続放棄をした人も、基礎控除計算上は法定相続人にカウントする
例:子3人のうち1人が相続放棄した場合、実際に相続するのは2人ですが、基礎控除計算では3人で計算します。
申告の要否判定
遺産総額が基礎控除を超えると相続税の申告が必要になります。超えなければ申告不要。
計算例
被相続人:父(死亡)。相続人:母+子2人(計3人)。財産:預貯金2,000万円+自宅不動産(評価額3,000万円)+生命保険1,500万円(受取人:母)。債務・葬儀費用:200万円。
- 基礎控除:3,000万円+600万円×3=4,800万円
- 生命保険の非課税枠:500万円×3=1,500万円(全額非課税)
- 課税対象遺産:2,000万円+3,000万円+0(保険は非課税)−200万円=4,800万円
- 4,800万円 ≤ 4,800万円 → 課税対象なし、相続税ゼロ
ぎりぎりですが、基礎控除内に収まったので相続税は不要です。
税率の概要
基礎控除を超えた部分に対して、超過累進税率が適用されます。各相続人の取得分に税率をかけて合算する方式です。
- 1,000万円以下:10%
- 3,000万円以下:15%(控除50万円)
- 5,000万円以下:20%(控除200万円)
- 1億円以下:30%(控除700万円)
- 2億円以下:40%(控除1,700万円)
- 3億円以下:45%(控除2,700万円)
- 6億円以下:50%(控除4,200万円)
- 6億円超:55%(控除7,200万円)
申告期限と納付
相続税の申告・納付期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内。期限を過ぎると延滞税・無申告加算税がかかるので、遺産分割に時間がかかる場合も10ヶ月目までに「未分割申告」を行う必要があります。
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