不動産売却の所有期間と税率(短期・長期の境目)
5年以下なら39.63%、5年超なら20.315%。所有期間のカウント方法、年末の売却タイミングで税額が倍違う注意点、相続物件の所有期間引き継ぎを解説します。
不動産売却の譲渡所得税は、所有期間によって税率が大きく変わります。5年以下なら約40%、5年超なら約20%。倍近く違うので、売却タイミングの判断には欠かせない知識です。
ただし「所有期間」のカウント方法が独特で、誤解しやすい部分なので整理しておきます。
短期譲渡と長期譲渡
短期譲渡(5年以下)
所得税30%+住民税9%+復興特別所得税0.63%=合計39.63%
長期譲渡(5年超)
所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%=合計20.315%
10年超所有・自己居住用の軽減税率
さらに自己居住用で10年超所有していた場合、6,000万円までの部分は14.21%(所得税10%+住民税4%+復興税0.21%)。ただし相続物件で被相続人ではなく相続人自身が居住していたケースが対象なので、適用は限定的です。
所有期間のカウント方法
ここが要注意ポイントです。所有期間は「売却した年の1月1日時点」で何年保有していたかでカウントします。
例えば2020年6月に取得して2025年7月に売却した場合、暦の上では5年1ヶ月の保有ですが、税法上は2025年1月1日時点で4年7ヶ月なので「短期譲渡」扱いになります。同じ物件を2026年1月以降に売却すれば「長期譲渡」になり、税率が半分になります。
相続物件の特例:被相続人の所有期間を引き継ぐ
相続で取得した不動産は、被相続人(亡くなった親)が取得した日から所有期間をカウントします。これは大きな特例で、相続から1年で売却しても、親が30年所有していれば長期譲渡(20.315%)になります。
実務上、相続した実家を売却するケースのほとんどは長期譲渡に該当します。短期譲渡になるのは、親が直近5年以内に購入した物件を相続した場合などレアケースに限られます。
税率の違いを実感する計算例
譲渡所得2,000万円のケースで税率を比較。
- 短期譲渡(39.63%):2,000万円 × 39.63% = 約793万円
- 長期譲渡(20.315%):2,000万円 × 20.315% = 約406万円
- 差額:約387万円
年をまたぐかどうかだけで400万円近く変わります。
3,000万円特別控除との組み合わせ
被相続人居住用財産の3,000万円特別控除(本サイトの別記事で詳細解説)が適用できれば、まず3,000万円を控除してから残りに税率をかけます。例えば譲渡所得3,500万円の長期譲渡で控除適用なら:
- (3,500万円 - 3,000万円) × 20.315% = 約102万円
控除なしなら711万円なので、差額約609万円の節税になります。
取得費が分からない場合の影響
親が古い時代に買った物件は、当時の契約書が残っていないことがあります。この場合、概算取得費(売却価格の5%)を使う計算になりますが、概算取得費は実際の価格より低いケースが多いので、譲渡所得が大きく膨らみがちです。
当時の契約書・領収書・通帳記録などを丁寧に探すと、税額を抑えられる可能性があります。詳しくは「取得費が分からないときの対処」記事で解説しています。
住民税の課税年度
所得税は売却した翌年の2月16日〜3月15日に確定申告で納付。住民税は確定申告の内容をもとに、翌年6月から月割りで給与天引きまたは普通徴収されます。
つまり2025年6月に売却した場合、所得税は2026年3月、住民税は2026年6月から納付開始というスケジュールになります。
※ 記事の内容は公開時点の情報に基づきます。最新の制度や数値は法務局・国税庁・各市区町村の公式サイトでご確認ください。本サイトは情報整理を目的とした民間運営サイトで、個別の法律・税務判断は行いません。具体的な手続きは司法書士・税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。